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こころとからだの学習裁判

『「こころとからだの学習」裁判(略称「ここから裁判」)とはどんな裁判なのか?
このページでは、「こころとからだの学習」やそれに対する都教委の不当な介入、そして提訴までの流れをご覧下さい。
[返して下さい] [不当な介入1] [不当な介入2] [攻撃に抗して] [提訴へ]

 

「教材を、授業を、返して下さい。」

1 こころとからだの学習とは
 

 東京都立七生養護学校は、日野市にある小・中・高等部を持つ知的障がい児の学校です。生徒の半数は隣接する七生福祉園から通ってきます。生徒の中には、親の顔を知らない。幼児期から虐待を受けてきたなどの子も多く、また集団生活ということで、性的な行動に発展してしまうことも多くありました。このような状況をなんとか打開したい。と始まったのがこの学習でした。 子どもたちに、優しいタッチを経験してもらうために、エステごっこや排泄指導をより視覚的にしようとペニスタイツを作ったり、お母さんのおなかの中を想定した、子宮体験袋、実物大の家族人形、中高生に射精の説明をするための箱ペニスや様々な立場の人の気持ちを理解しようと老人・妊婦体験グッズなど、様々な教材を自主制作したり、集めたりしました。数多くの絵本や写真集・ビデオも保健室で集中管理していまいした。これらを駆使して、月に1〜2回の授業は教科としての系統性を持たせ、科学的に、でも夢や優しさを大切にしたもので、産まれた(生きる)ことの大切 さや自己肯定感を育て、優しい語りやふれあいを大切にしてきました。将来への憧れ、男女交際のあり方、自立への志向など系統立てて育てていこうとした実践でした。

2 2003年夏、突然の介入

 それまで、校長会などでも高く評価されてきたこの実践が突如、都議や都知事・教育長によって都議会で不適切と決めつけられました。都議と同行してきた新聞記者は「まるでアダルトショップのよう」というでたらめ記事を書き、その後都教委の指導主事たちは百数十点の教材の没収、教職員への一方的な聞き取り調査を始めました。私たちの授業を誰一人として見ることなく、七生の生徒の実態を聴きもしませんでした。
 その後、この教育の年間計画の変更の指示があり、「からだうた」の禁止、妊婦体験など体験学習の禁止、小・中学部生と高等部重度生徒に対する性教育の廃止、保護者への通信(高等部)「さわやかUP」の発行禁止、問題行動や生徒に対しては、個別対応であたるよう指示され、授業は事前に副校長の許可と当日の監視のもとで実施されるようになりました。

3 今、東京では
 家族人形の回収は他の学校でも行われ、新たな性指導の手引きに基づいて、ほとんど教材を使っての性や保健の指導はできなくなっています。七生には未だに、教材は返却されず、区市町村でも議員たちによる干渉が激しくなっています。このような状況がもう2年以上も続いている現状です。
4 その後の七生養護の生徒指導

 2004年以降、性教育を中心になって進めめてきた教員たちの異動(特に高等部では半分以上の教員が異動)もあり、高等部での生徒指導は、部活動による統制や部活動担当教員の指導が中心とされるようになりました。毎日、朝と放課後の練習、問題行動に対しては、厳しい叱責を行う。集団に入れない生徒は置き去りにされてしまいました。それでも、男女の性的な接触行動もあり、暴力問題も起こっています。何よりも生徒と対話しながら生徒の気持ちを聞き取る余裕が教員側に無くなってしまいました。軽度の生徒は、福祉園でも学校でも、大人とは別の世界を持ち、それを教員に話さなくなりました。性的行動に対しても具体的教材がないので、性的接触がどういう結果をもたらすか、妊娠や避妊について具体的な指導が出来ないため、道徳的な説諭(子どもなのになんだ・・・とお説教)になってしまい。自分の身体は自分自身のものであること、将来を展望した生き方、科学的に性や身体が持つ力になどのメッセージを伝えられないもどかしさが募りました。
 他校でも、出会い系サイトで成人と性的接触を持った女子生徒に対して、きちんとした指導ができないでいます。妊娠などの可能性を生徒に伝えた教員も、いつ、どこから介入があるか分からないと継続した指導が行えないでいます。具体的教材もありませんし、この問題をどう考え、捉えていけば良いかという、参考書も手近に無い状況です。単なる社会問題にせず、目の前の生徒一人一人に科学的に、そして豊かなイメージを伴った、明るい雰囲気での指導をぜひ作り上げていきたいと思います。

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